日増しに秋の気配が感じられます。植物の宝庫、静岡市葵区の麻機遊水地を歩いてみました。

静岡市葵区の麻機遊水地は、元来低湿地地帯で沼が散在しヨシやマコモが茂り、野鳥や渡り鳥が飛来し、昆虫や魚類も生息していました。沼では「柴揚げ漁」やカモなどの狩猟が行われ、人々は沼から豊かな自然の恵みを受けていました。ところが昭和30年代後半からの土地改良などにより優良な水田に整備され、沼の姿は徐々に消えていきました。その後1974年(S49)の七夕豪雨を契機に、洪水時の水位を下げるため、水田から遊水地への整備が始まりました。

遊水地の造成が始まってからこれまでに600種以上の植物が見つかっています。しかし、そのまま放っておくと、背の高いアシやガマの日陰となった低い植物は消えて行ってしまいます。それらの植物の種子は泥の中に休眠していて、より多くの植物を生育させるため、毎年土を掘り起こしたり手を加えていかねばならないのです。最近沼や湿地はどんどん埋め立てられ、田んぼでも除草剤が使用されたりで、多くの湿生植物が消えています。麻機遊水地では深い眠りから覚めた植物の中に絶滅危惧種が数種生き残っていたことが分かりました。それはカヤネズミやイトトンボ、ヤンマ類などの動物、昆虫にも言えます。この自然環境を保全・再生するため、「麻機遊水地保全活用推進協議会」が設立されています。

 

 

秋の植物を観察するため、第3工区を歩いてみました。(2020・10/1)

 

流通センター横の野鳥観察小屋の前に駐車場があります。まっすぐ東屋のある所まで進む途中、池にはサギらしき鳥の姿が見えました。名前をチェックしながら小さな草花(ホシアサガオ、センニンソウ、アカバナ、オギノツメ)、実のなっている木々(アケビ、ナンキンハゼ、クヌギ)、香りのするクズなどを確認しました。すると突然それまで奥に見え隠れしていた彼岸花の赤いストリートが現れました。

 

 

 

 

 

この時期に見ることが出来る希少植物のミズアオイ,サクラタデを探しに進みます。ミズアオイの花の青紫色が見事ですが、昨年よりは勢いがないそうです。サクラタデは群生していました。が、今年はオニバスはいつものに場所には見られないそうです。天候のせいでしょうか?

 

 

 

次にスクナビコナノ神が乗っていた舟である、ガガイモの実を見付けに行きました。「ガガイモのさやを割って作った舟に、豆つぶのような小さい神さまが、蛾の皮をそっくりはいだ着物を着て乗っていて、オオクニヌシノ神の目の前におりたちました。この方はカムムスヒノ神の御子さまで、スクナビコナノ神さまです。」と古事記に書かれていて、これはまた一寸法師を思い浮かべます。やっと見つけたガガイモの実には、なんとスクナビコナノ神なる?小さなカタツムリが乗っていました。

 

 

駿府九十六ヶ町の町名碑の一つに御器屋町があります。御器屋町は城中に納める食器(御器)を作る職人のいた町で、京都市内にもこの町名があります。この御器の名前の付いたゴキヅルというユニークな植物があると聞きました。合器蔓、御器蔓とも書きますが、合器は蓋つきの食器のことで、果実が熟すとパカッと横に割れ、ふたのようにとれるそうです。水辺に生えるつる性の一年草で群生していました。

 

 

次々に教えてもらったいくつかの草花の写真を掲載します。遊水地は遊歩道も整備されていますが、かなりの広さなので案内なしには迷ってしまうかもしれません。今も遊水地では工事が行われています。季節ごとの種類の違いや、野鳥類も多く、随時訪れたい所です。