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神社と植物に囲まれた賎機山古墳

賎機山古墳(しずはたやまこふん)は、静岡市街地の北の方向にある賎機山の南端に造られています。当古墳は静岡浅間神社の境内にありまして、同じ境内には現在放映されているNHK大河ドラマ『どうする家康』のドラマ館も置かれています。

賎機山古墳の特徴は、6世紀後半に建造された円墳で横穴式石室であるということですが、遺体が納められた石棺は全体の形が家の形をしているところから「家形石棺」と呼ばれています。また、当時としては珍しい高級な副葬品も出土しています。これらの特徴は奈良県斑鳩(いかるが)にある藤ノ木古墳と似ています。このことから、当時日本の中心であった奈良との結びつきが強かったことや埋葬された人が有力であったことを示していると考えられます。

古墳の構造材は石でして、大きな石が多く使われていますが、最大14トンの重量があるものもあります。この石を10km離れた大崩海岸から運んでいます。しかも、ここの標高は50mほどあります。また、石棺は沼津市辺りの凝灰岩をくりぬいて使っています。トラックもクレーンもない時代にどのようにして運び上げたかは想像を絶するものがあります。

ここは静岡の例にもれず自然豊かな場所です。境内の平地には神社にゆかりのある、サカキ・クスノキ・ナギノキなどがありますが、古墳のある山地は写真のように様々な木が生えています。枝先に多数の白い花を開いて目立つのがタラノキです。この木は春に芽を出しタラノメと呼ばれて山菜として人気があります。栄養価も高く脂質とタンパク質を多く含んでいることから山のバターと呼ばれています。

(現在補修工事中のため、写真は入り口付近にある断面を示した模型を掲載しています)