【企画ウォーク】「 今も生きている 駿府用水を巡るウォーク 」。7月14日(日)開催しました。
今も生きている 徳川家康公大御所時代の用水「駿府用水」を巡るウォーク
令和6年7月14日㈰、企画ウォークが開催されました。
8時半の受付開始とともに37名の参加者が次々と訪れ、受付を済ませた方から6つのグループに分かれて2.6キロメートルほどの駿府御用水を辿るウォークがスタートしました。
駿府御用水の歴史
駿府御用水の歴史は古く、今川時代に鯨ケ池の湧き水を引いてきて今川館の池の水として利用したものを、家康公が引き継ぎ整備したことが旧家の古文書に遺されています。駿府城の本丸庭園にあった池に注がれ、流れ出た水は堀に落とす用水として駿府町奉行所によって管理されていました。その昔は、水車小屋が駿府の町の名物だったという話を聞きながら、雨のなか薩摩土手を水門にむかって歩きました。
井宮水門跡と第一水門
土手の下に「井宮水門」の説明板がみえてきます。今は「井宮水門跡」となっていますが、ここから土手をくぐった用水が井宮町を流れ、材木町の交差点あたりで一番水門からの御用水兼駿府用水の流れに合流していたそうです。石積みの造りの水門で、戦時中は防空壕としても利用されたとありますが、昭和40年ころの土手修復工事で閉鎖され埋められました。2000年頃発掘調査が行われ石造りの用水トンネルが姿を現しましたが、記録がとられた後、再び埋め戻されています。
井宮小学校の前を通る道路で土手はいったん区切られ、その先の土手を歩いて行くと次は水道町の交差点でかなり広く土手が切れています。「第一水門」に到着しました。土手の外側に回ると辰起川橋の下では用水の一部が辰起川に注ぐのを見ることができます。暗渠で流れている用水の本流は辰起川の下をくぐって流れています。ウォークはこの先は暗渠となっているため、点検用の四角い蓋を頼りに用水路を追いかけて行くことになります。
上十分一材木御蔵、山岡鉄舟屋敷跡、安倍鉄道井宮駅跡
井宮町、水道町と歩きながら、江戸時代の役所の跡地にたどり着きました。
上十分一材木御蔵は「かみじゅうぶいちざいもくおくら」と読みます。安倍川の流れを利用して上流の村から木材、炭薪、杉皮などを筏で運んだものを集め、検査し、品物の十分の一を税として納めさせた場所でした。納められたものを保管する蔵や材木を置くための場所としてかなり敷地が広かったようです。丸に十の字がマークでした。
明治維新後は十分一税の取り立てがなくなり、役所が廃止されると、徳川家達公に従ってきた家臣の山岡鉄舟が屋敷として使用した時期があったということです。いまは魚屋さんの店先の石碑に説明を見ることができます。
明治の中頃以降は物資の輸送が安倍川の水運より陸上交通が主となり、大正5年には井宮~牛妻間に「安倍鉄道」が開通しました。全長10キロメートルの軽便鉄道で、十分一材木御蔵跡には井宮駅が設置され、牛妻駅まで1日15往復、1日平均150人ほどの乗客と貨物を輸送していたということです。その後、バスやトラックの普及によって昭和9年に廃止されています。
用水の分流点
材木町の交差点から安倍街道を渡り、片羽町の歩道を行くと、ところどころに四角い鉄製の蓋を見ることができます。蓋には「市下水」と刻まれていて、この下に用水が流れているわけです。用水は、片羽町交差点の手前で、浅間神社側に流れる水と、町の中に流れていく水とに分流されています。
浅間神社
用水の流れは、浅間神社の神池(瓢箪池)にも注いでいます。池から神社の周囲を流れる北川に流れ出て、臨済寺方向に流れて安東川~巴川~清水港に至っています。雨も上がり蒸し暑くなった中、熱中症予防のため、浅間神社でいったん休憩。お客様もスタッフも池を眺めながらアイスを食べて英気を養ってから、いよいよ駿府城のお堀方面に進みます。
外堀流入箇所【三の丸櫓台前】
浅間通り裏の道を用水の蓋を辿って歩いていくと駿府城の外堀に突き当たります。ここで流れは二つに分かれ、一方は静岡市立病院が建っている三の丸櫓台の向かえあたりに、見るからにドドドッと流れでています。また一方は中町の交差点の下(中町地下道の上)を通って、日赤前から中央署前へ流れていきます。
市役所前
市役所前の用水の流れは静岡市民にはおなじみの景色ですが、この流れが鯨ケ池の湧き水で、それも江戸時代からこれまでずっと流れ続けている用水であることをご存知ない方もいるのではないでしょうか。
ウォークのゴール ホリノテラス
用水の一部は大手門の横から外堀へと流れこんでいます。外堀の水は、水落交番横から横内川用水路として北街道の下を暗渠で今でも流れて、上土地区から巴川に合流しているそうです。
雨に降られてのスタートでしたが、ホリノテラスにつく頃には青空が見えてきました。湿度の高いなかのウォークとなりましたが、お客様もスタッフもみな無事にゴールすることができました。
最後に、お客様のアンケートから
「なかなか用水をたどるウォークはないので楽しかった」「このシリーズをさらに参加したい」「歴史と治水など勉強になりました」「静岡市を見直す機会になった」と、うれしいご意見をいただきました。ありがとうございました。
次回も、どうぞよろしくお願いいたします。