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緑豊かな静岡県立美術館

  静岡県立美術館は、静岡市郊外の日本平(有度山307m)の北緩斜面にあり、贅沢なくらいに広大なエリアの奥まった所にあります。県立大学、県立中央図書館などが隣接する文教地区の一角にあり、その周辺には住宅地などが広がりをみせる閑静な環境のなかにあります。むしろ、美術館の様々な樹木や芝生などの植物などが、春の若葉の芽吹きや百花繚乱から始まって、秋の結実や紅葉・落葉など自然の移ろいの形や色模様を味わうことができるように設定しているといえるかもしれません。

アクセスについて、自家用車の場合は遊歩道下の駐車場の利用をお勧めしますし、バスの場合も終点までのご乗車でなく片道だけでも遊歩道のご利用がお勧めです。また、静鉄電車で県立美術館前駅から歩く方も遊歩道を歩くことをお勧めします。当美術館の醍醐味は遊歩道を歩くことから始まります。つまり、フィールドミュージアムと称したいくらいに範囲に広がりがあります。そこに設置されている国内外の彫刻家の作品が鑑賞できることが挙げられますが、それに引けを取らないくらいの利点は、森林浴としてのシャワーを浴びることができることにあります。静岡県立美術館は杜の中の美術館です。

 

美術館下の駐車場近くの遊歩道入口に、獅子像が一対建てられています。この像は、静岡県と中国浙江省とが友好提携 5周年を記念して建てられ、浙江省人民政府から静岡県に寄贈されたものです。中国では獅子は吉祥を象徴する動物とされていて、宮殿などの前に守護神として置かれます。日本の神社に置かれている守護獣の獅子狛犬は、中国から伝わったものとされています。

アオギリは中国原産の落葉高木で、中国では最も古くから栽培されている庭木です。かつ、中国では鳳凰が止まる唯一の木として神聖視され、「鳳凰が住む樹」とされています。日本の神社でも「桐と鳳凰」の彫刻が見受けられますが、この「桐」は中国から伝わるアオギリのことです。

県立美術館の園内にはアオギリが生えていて、8月の種子は、写真のように未熟な状態でグリーンピースのような形と色合いをしています。秋には茶色に色づき、やがて種子はさやとともに風で遠くに運ばれ広く散布されることになり、種子は次の時代の子孫に受け継がれることになります。アオギリが編み出した植物進化の表われであり、子孫を残すしたたかな戦略といえます。