『 美 和 歴 史 め ぐ り ~ 美 和 編 ~ 』2月17日(土)開催されました。美和桜も満開でした。
令和6年2月17日(土) 曇り空の中、静岡市北部学習センター美和分館(アカデ美和)主催の「美和歴史めぐり~美和編~」が開催されました。ご参加の34名様を、駿府ウエイブガイド3名がご案内させて頂きました。
「静岡市葵区美和エリア」の地勢と歴史について少しご紹介します。 安倍川は源流から河口まで、標高差2.000mをほぼ南下する全国的にも稀な急流河川です。中ノ郷、内牧、西ヶ谷、遠藤新田、与左衛門新田、安倍口新田、幸庵新田、藤兵衛新田の美和エリア南部は総延長約50kmの安倍川の河口から約12kmの右岸、標高約60mに位置します。
美和エリアは左右を山に挟まれた安倍川の谷底平野から扇状地頭部に至る場所に当たり、中世末期以前は遠藤新田を始め多くの新田名がつけられてることからして、このエリアに堤防はなく安倍川は乱流していました。
又町名の中にある「安倍口」は府中から安倍山中に入る最初の村であったからと言われています。(駿河国新風土記)
安倍川両岸の新田開発は16世紀末から18世紀中盤にかけ行われましたが、遠藤新田、幸庵新田、安倍口新田は他の安倍川流域の新田に先駆け17世紀初頭に完成しました。それでは、ご案内いたしましたポイントをご紹介します。
安倍口神社 こちらの神明宮は、地域では安倍口の神明様と呼ばれ、豊作祈願の神様として親しまれています。社の側には樹齢300年、幹回り3.6mのモチノキがあります。モチノキは「お金を持つ」「家を持つ」「子を持つ」など縁起物とされています。
庚申塔 境内に庚申塔があります。中国より伝来した道教に由来する庚申信仰に基づいて建てられ石塔です。庚申講(庚申待)とは人の体内にいる三尸虫(さんしちゅう)という虫が、睡眠中にその人の悪事を神様に報告するのを防ぐため、庚申の日は眠らず夜を明かし宴会など行う風習です。平安時代に宮中や貴族の間で行われるようになり、枕草子にも庚申待の話が登場します。江戸時代になり民間にも広がりました。
明治から昭和初期に建てられた登録有形文化財 鈴木家住宅 鈴木家は南北朝時代の延元年間(1336~1340)に鈴木三郎重高が定住したのが始まりと伝承されており、中ノ郷は子孫の鈴木藤左衛門が開き、江戸時代は代々名主を勤めていたと言われています。藤左衛門家は遠藤新田を開墾した武田家の旧臣、遠藤伝蔵正忠が一時寄寓した家です。
鈴木家住宅 主屋 1928年に建てられた主屋は敷地中央に南面して建ち、建築面積265㎡、木造平屋建、寄棟造桟瓦葺です。正面中央に構える玄関の東側を洋間の応接間とし、外観も、他が簓子下見(ささらこしたみ)板張とするのに対し、応接間は南京下見板張となっています。落ち着いた外観の、和洋併立の近代住宅の一つです。
鈴木家住宅 米蔵 1912-1925年にかけて建てられた主屋の西側に建ち、桁行6.9m梁間5.0m、煉瓦造、寄棟造妻入桟瓦葺で面積45㎡、南面の出入口に下屋が付いています。壁体はイギリス積で一枚半厚。軒蛇腹は二段に迫り出し、小屋組は和小屋とし、主屋と対照的に堅牢な外観になっています。
鈴木家住宅 石垣 1868-1911年に建てられた主屋背面の敷地内段差に築かれた石垣。最大高2.1m、折曲り延長23mとし、東・西に石段を設け、東端は池泉庭園の石組と一体に積む。緩やかな反りをもたせ、積石の合端を丁寧に加工し、隅部を算木積とするなど、旧家の屋敷に相応しい良質な造りです。
鈴木家住宅 渡廊下 1926-1988年に建てられた主屋と文蔵の間にあって、石垣の上・下段に建つ廊下と、両者を繋ぐ階段からなる。建築面積12㎡、木造平屋建、両下造鉄板葺である。開放的で軽快な造りの階段付廊下で、屋敷構成に変化を与えています。鈴木家住宅はご紹介したほかに 長屋門、味噌倉、文蔵、味噌倉、も2010年に登録有形文化財に指定されています。
龍ヶ谷山 大仙寺 大仙寺略史によると、推定慶長元和年間(1596〜1624)大仙長源がこの地に庵を結びました。御本尊は釈迦如来、曹洞宗のお寺です。寛永4年(1627)大岩天徳院末寺となり、大正5年(1916)円城寺院と合併し薬師如来を合祀、十二神将を配祀しました。お薬師さんは目の病に悩む人々の参詣者が多く、毎年2月に御祈祷を行っています。安倍口小学校の前身、寺子屋「開明舎」は明治5年(1872)大仙寺で誕生しました。
2009年に静岡市が「政令指定都市」になるのを記念して、「美和桜を育てる会」が安倍川堤防沿いに「美和桜」として親しまれる河津桜を植栽しました。静岡市遠藤新田の安倍川右岸土手添いに植えられた107本(延長約700m)の河津桜が、ほぼ満開でした。2月下旬まで美しい姿を堪能できます。
水神社 安倍川は日本有数の急流河川で、水難を恐れた昔の人は堤防を整備し水神様を祀って水害に備えました。こうして水害より守られた遠藤新田、与左衛門新田、安倍口新田、幸庵新田はまさに先人の汗の結晶であり、今日の豊かな生活を支えています。
参加者のご感想の一部をご紹介します。「美和桜、満開のドンピシャリ、とっても見事でした。地域の歴史ウォークは楽しくほのぼのと して、大好きです。ありがとうございます。」「長く静岡に住んでいても、知らないことばかりでした。安倍口・美和地区、とても素晴らしい 歴史を知ることができました。」「美和桜の時期に開催していただいて、とてもよかった登録有形文化財の建物見学が興味深かった。」「鈴木邸がすごかったですね。」「今日は各施設の方にお話をいただけたことがよかったと思います。コース、時間も含め、美和 桜も見れたことが、参加者としては満足のいくものとなったと思います。よい時期に企画をし てくれて感謝です。」等の感想をいただきました。参加された皆様、主催された静岡市北部学習センター美和分館(アカデ美和)様、ガイドの方お疲れさまでした。