3月1日の静岡浅間神社の大拝殿現場見学会に参加しました。
静岡浅間神社の神部神社・浅間神社の拝殿の保存修理工事が昨年の令和5年8月に始まり、今は外観が工事足場と幕で覆われ見えなくなっています。工期は5年間で令和10年8月に終わり、工事費は約13億円、使用漆の総量は約1100kgの予定です。
3月1日(金)に、翌日も含め6回ある現場見学会の4回目に参加しました。
各回20名の定員で、現場見学会は約50分でした。
大拝殿の本殿側から、各自ヘルメットを被り入場見学します。
まず、清水建設の方から、現在執り行われている建具の漆塗り作業の様子の説明がありました。
大拝殿の黒い扉、舞良戸と蔀戸をはずし、漆の古塗装掻落しと素地整備の作業を4人の方が2組になり作業中でした。まだ始まったばかりの最初の段階の作業です。最低で29工程ということなので、30以上の工程をこなすという、今後の期間が想像出来ないほどの長さだと感じました。今回の漆塗りで一番工程数が多い塗り方は、本直しと言いますが、基準工程で29工程あるということでした。
静岡浅間神社の宇佐美権禰宜の解説に代わりました。
大拝殿はおよそ200年前に建てられ、前の修理は昭和の終わりで40年経っています。漆塗りは40年から50年に一度は塗替えが必要であるとのことです。
狩野栄信、狩野寛信の天井絵を見上げ、八方睨みの龍は6畳、天女の絵が4畳半の広さがあります。下から見上げると、高さがあり、そんな大きさには見えませんでした。
殿内に32本ある朱色の柱の内、中央の2本だけが通し柱で、地面にある礎石からまっすぐに天上を突き抜け、約20メートルほど上の屋根の近くまで1本の柱でつながっているということでした。
さらに上層に上った時に中を見ると、漆が塗られていない2本の八角形の大きな柱が見えました。
次に殿内から出て、階段を上り上層に移動しました。足場の高さが低く、ヘルメットを何度もぶつけてカンカン音がしました。途中、蟇股の彫刻が外された部分が見えました。雲の彫刻があり、ここは天地の分かれ目、雲の上は神様の領域です。ヘルメットを被った状態でないと、入ることは出来ない場所で緊張します。本殿参拝の際に、大拝殿の回廊を見て、神様より上に人がいることはないので、もし見えたなら工事の方ですと案内していたが、その工事の人に私もなった訳です。
蟇股
雲の彫刻
さらに上層に上ると、静岡の町中のビルや富士山の姿も見えました。本殿のその美しい姿も見ることが出来ました。本殿へ続く2本の階段は上から見るととても急で狭く、昇祭、降祭の時に神職の方々は百段階段よりも大変では、と思いました。
天女の彫刻、天上を表しています
屋根の上を見ると、神部神社の御神紋の輪宝と浅間神社の棕櫚葉も見えました。
輪宝
棕櫚葉
四隅には青銅の風鐸がかかっていて、思いがけずその音を聞くことが出来ました。渋い音が歴史の年月を感じます。
神様の領域に近づくことが出来る、とても貴重な体験でした。