8月15日(金)、ユネスコ無形文化遺産「 有 東 木 の 盆 踊 り 」を見てきました。
静岡市街から安倍川に沿って山間部に向かうこと約30km、車で約1時間。有東木で、8月15日夜、盆踊りが行われました。有東木の盆踊りは平成11年に、国の重要無形民俗文化財に、令和4年にはユネスコ無形文化遺産に登録されました。起源については明らかではありませんが、同種の踊りを伝える有東木より少し南の平野地区の太鼓に記されている修理記録から、少なくとも享保7年(1722)には、今のような盆踊りが行われていたと考えられています。
夜6時過ぎ、東雲寺の境内に地域の人々が集まり出しました。そして、太鼓の音と唄に合わせて、男性だけの「男踊り」、 女性だけの「女踊り」が交互に続きます。一人の男性が城の天守を模した灯篭を頭上に掲げ、その周りを踊り手たちが囲みます。唄によってササラや扇、コキリコなどの小道具を持ち換えながら20演目以上の踊りが、深夜まで続きました。最後の演目「なぎなた踊り」が終わると、いよいよクライマックス、「送り出し」です。灯篭を先頭に人々は寺から坂道を下ります。そして踊りで使ったササラや灯篭の飾りを燃やして、ご先祖様の御霊を送り出します。有東木の人々は「盆踊りはご先祖様と一緒に踊るもの」と語ります。
翌日は、同東雲寺で、念仏講が行われます。地元の人々が数珠を回しながらお念仏を唱え、こうして有東木のお盆は終わります。高齢化で伝承の難しさはあるようですが、昔から受け継がれてきた文化を大切にしていこうとする地元の人々の気持ちが伝わってきました。